(ISSN 2435-1261)

共創学 1巻 1号 (Cocreationology, Vol.1, No.1)

創刊のことば

「共創学」発刊を祝して
三輪 敬之
Vol. 1, No.1. pp.1-2, 2019/6/30
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巻頭言

共創学に向けて
郡司 ペギオ幸夫
Vol. 1, No.1. pp.3-4, 2019/6/30
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原著論文

共創=表現耕法の意味論:「わたし」の内在と解体
郡司 ペギオ幸夫
Vol. 1, No.1. pp.5-13, 2019/6/30

概要:共創概念を,外部を召喚するメソッド,知覚できないが存在を感じる外部,への窓=装置=儀式=「表現」として解読する.このとき,表現を実践する「わたし」は,決して透明化し解消できるものではない.ここに「わたし」は表現に内在し,同時に,対象として措定できないが故に解体される.このとき初めて理論と実践の未分化な「耕法」が意味をもち,共創=表現耕法の意味論が立ち上がる.

キーワード:表現,藝術係数,措定,他者の召喚,わたし

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原著論文

共創するファシリテーションのダイナミックレイヤ
西 洋子
Vol. 1, No.1. pp.13-22, 2019/6/30

概要:共創を目指す身体表現ワークショップでのファシリテータの「表現する身体」において,知覚や感覚さえも及ばない「何か」から浮かびあがる「うねり」についての再考を試みた.具体的には,ワークショップのファシリテーションに流れる風景のありのままを,ファシリテータの「こころに映る風景」として言葉で素描し,人の創造的活動に関する論考や表現作品にみいだされる「うねり」と照らし合わせながら考察を進めた.並行して,言葉で素描したものを複数人がイメージ図として表し,ワークショップの風景に内在する「うねり」についてのそれぞれの気づきを交流させて考察を深めた.結果として,言葉での素描で表現された,多様な「布」のレイヤが多層的に重なり合い,それぞれがダイナミックにはためく風景が,共創にとって重要な意味をもつことが示唆された.

キーワード:共創,身体表現,ファシリテーション,うねり,ダイナミックレイヤ

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原著論文

共創表現のダイナミクス -実践,理論,システム技術-
三輪 敬之
Vol. 1, No.1. pp.23-30, 2019/6/30

概要:本稿では,「手合わせ表現」を手がかりに,実践,理論さらにはシステム技術の視点から,共創表現のダイナミクスの解明に迫る.まずは,実践面から,表現する身体には内と外の交流を促し,他者との関係性を耕す働きがあることを述べる.次に,手合わせ表現における力学的情報を計測することにより,ファシリテータ同士が創りあう表現の特徴を明らかにする.さらに,ファシリテータの表現する身体に立ち上がる“うねり”について,心理物理モデル(相澤モデル)を適用し理論的に検討する.加えて,表現する身体の二重性を取り込んだ仮想的他者のシステムデザインについて述べる.最後に,共創表現を促す働きをファシリテーション・アーツと呼ぶことを提唱する.

キーワード:共創,他者,手合せ表現,ファシリテーション,心理物理モデル

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原著論文

芸術活動における共創の再考 ―創造とエンパワメントのつながりを探る―
中村 美亜
Vol. 1, No.1. pp.31-38, 2019/6/30

概要:芸術家と一般の人が共同で行うアートプロジェクトは,しばしば「共創」と呼ばれ,参加する人たちをエンパワメントするとされている.しかし,「共創」と一口に言っても,その共同の形態はさまざまである.本論の目的は,複数の人たちが関わる芸術活動における創造への関わり方やプロセスを再考した上で,「創出」と「語りなおし」に着目し,創造とエンパワメントの関係を探ることである.その結果,個々の参加者が生かされる創造の方法を「創出」し,その方法で創造を行うことができた場合,「語りなおし」の契機が生まれ,創造とエンパワメントが両立することが示された.

キーワード:芸術活動,アートプロジェクト,創造, エンパワメント,語りなおし

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原著論文

二人称的(共感的)関わり -共創現象を解く鍵
諏訪 正樹
Vol. 1, No.1. pp.39-43, 2019/6/30

概要:本稿は,共創現象を紐解く鍵として「二人称的(共感的)な関わり」という概念をあげ,共創を論じるものである.二人称的(共感的)関わりは,人と人のあいだに芽生えるだけではない.人は,新しく遭遇したモノに対して(一方向的な関係ではあるが)共感的な感情を抱くことが多々あるのではないかと考える.そうした関わりは,心が未発達の幼児だけではなく,成人にも日常的に芽生える感情であろう.
共創現象の根幹に二人称的(共感的)な関わりがあるとするならば,共創現象を探究するためには,従来の科学の方法論である三人称的(客観的)な立ち位置からの観察だけでは事足りない.自身と対象(それが人であれ,モノであれ)の関係性を一人称視点で観察して記述するという,いわゆる「一人称研究」からスタートし,次第に,自身と対象のあいだに二人称的な関係性が立ち現れてくる様を探究するという手法が求められよう.

キーワード:共創,共感,二人称的関係,一人称研究,日常生活における認知

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原著論文

超越動詞の誕生
永田 鎮也
Vol. 1, No.1. pp.44-50, 2019/6/30

概要:本稿では,新事業創出過程における発話と事業コンセプトの変遷を解析し,共創とは何かについて考察を行った.新事業創出では希望への船出,挫折,再起など多様なドラマが展開する.特に挫折の場面では,感動詞の原初的状態として無主語の世界が出現する.この状態を経て,自己を突き抜けて世界や社会へ働きかける超越動詞が立ちあがり,ドラマは再起へと翻る.超越動詞は,主語軸と無主語軸の二人三脚で創出される超越軸の活き(はたらき)と捉えられ,他の構成員へ伝搬し,構成員や新事業創出のドラマ全体を包摂する.主語軸,無主語軸,超越軸の3軸は循環的に活き合い,共創のドラマを推進すると考えられる.

キーワード:共創,超越動詞,無主語,不可知性,二人三脚

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原著論文

会話におけるストーリーの共創
植野 貴志子
Vol. 1, No.1. pp.51-56, 2019/6/30

概要:本稿では,二者会話において,互いのうなずきのリズムがひきこみ合うなか,相手のことばを繰り返したり,相手の発話を引き取り,その先を展開したりすることによって,一つのストーリーが創り出される現象を論じる.この現象は,異なる者同士が,身体的リズムをひきこんでつながりながらも,個別の一貫性を保ち,また,それ故に生じるズレを埋めつつ,「今ここ」の場的意味を創り合う共創的コミュニケーションの一形態として捉えることができる.

キーワード:共創的コミュニケーション,うなずき,繰り返し,ひきこみ,ズレ

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解説論文

スキマを作る道具:不確かで多義的なインタラクションの試み
橋田 朋子
Vol. 1, No.1. pp.57-60, 2019/6/30

概要:筆者は再現性や一般性が求められる従来の工学的なモノ作りに対し,出力が必ずしも予想できないものや,多様な解釈が生じうるものを模索し,その結果としてインタラクショのスキマや思考のスキマを生み出す道具を多数作り出してきた.本稿ではスキマを作る方法として,「偶発性の取り込み」,「自律性の付与」,「文脈の変換」,「曖昧性の操作」の4つの切り口から様々な道具を紹介する.また特に「文脈の変換」や「曖昧性の操作」に関連して,様々な極の間のグレースケールの表現を模索したGrayscale展の試みについてもまとめる.

キーワード:スキマ,インタラクションのスキマ,思考の余白, グレースケール

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解説論文

「共創」とは何か
大塚 正之
Vol. 1, No.1. pp.61-66, 2019/6/30

概要:「共創」は,多様な意味で使われている.ビジネスの世界では競走優位を維持するための消費者との間での新しい価値の創出,学術分野では,持続的社会を創るための多世代共創,九州大学共創学部は,地球規模の問題解決のための他者との共働を共創と呼ぶ.しかし,本来の共創は,経済的格差や自然破壊等の問題の根底にある,自己と他者,主観と客観,人間と自然とを分離する考えを乗り超え,相矛盾する外部や他者を採り入れ,共存できる場を創ることである.

キーワード:共創社会,場における自己組織化,自他非分離,主客非分離,人間と環境の非分離

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