(ISSN 2435-1261)

共創学 5巻 1号 (Cocreationology, Vol.5, No.1)

原著論文

記憶継承における共創の可能性 - 東日本大震災後のアートプロジェクトの事例分析 –
梶原 千恵
Vol. 5, No.1, pp.1-9, 2023/12/18

概要:本稿の目的は被災の当事者,非当事者が語りを共同創作するアートプロジェクトを分析し,記憶継承における共創の可能性を示唆することである.東日本大震災後,東北沿岸部では口頭で記憶を伝える語り部が多数活動しているが,震災から12年が経過し次世代の担い手育成が課題になってきた.本稿では非当事者が語りを受け継ぐ困難を乗り越えるために,新たな視点として共創に着目し,アートプロジェクト『波のした,土のうえ』を事例に,プロセスや語りの形式を分析した.その結果,『波のした,土のうえ』では,<語りの共創>という独特の技法が用いられ,当事者の語りの定型に収まらない多様な語りが生まれ,関わった人々にもポジティブな作用をもたらしたことが分かった.

キーワード:コミュニケーション,被災の当事者/非当事者,アートプロジェクト,実践方法論,語り

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原著論文

「天然知能」の視点から捉える保育者の専門性 - 保育者のひらめきと生まれ続ける新たな実践の検討 –
杉山 沙旺美,刑部 育子
Vol. 5, No.1, pp.10-22, 2024/1/29

概要:本研究の目的は,「天然知能」[郡司 2019]のフレームワークを基に具体的な保育場面を分析し,新たな実践が生まれ続ける保育における保育者の専門性とは何かを明らかにすることである.これまで保育者の専門性は,理論を学び,人間力や感性を磨き,省察と実践を繰り返す中に見出され,個人の能力に帰するものとして語られてきた.本研究では新たに,保育者の保育実践におけるひらめきを保育者の専門性と捉え検討を試みる.結果,子どもと保育者が共に創造する保育実践において,「天然知能」が解放された保育者の専門性が発揮されることで,保育者の意図と子ども達の実際のギャップに外部を招喚し,保育者のひらめきがやってくることが見えてきた.この意図と実際のギャップが開いたり閉じたりと運動し続けることが,新たな実践が生まれ続ける保育に繋がっていると考えられる.

キーワード:幼児教育,保育者,専門性,天然知能,ひらめき

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